遠浅の美しい砂浜と淡路島を一望できる絶景から、かつては関西圏における「BBQの聖地」と持て囃された林崎松江海岸。しかし現在、砂浜へのコンロの持ち込みや直火調理は例外なく禁じられています。なぜ、これほどまでに厳格な規制へと舵が切られたのでしょうか。その発端は、マナーの域をはるかに超えた現場の荒廃にありました。
規制強化前の現場では、週末ごとに県外から数百人規模のグループが押し寄せ、大音量の音楽を鳴らしながら酒宴を開く光景が常態化していました。さらに深刻だったのが、使用後の高温の炭を砂の中に埋めて立ち去る悪質な不法投棄です。砂中に埋められた炭は長時間にわたり超高温を保ちます。そこを裸足で歩いた幼い子どもが足裏に重度の火傷を負う重大事故が多発し、救急搬送が相次ぐ事態となっていました。
海岸線に隣接する住宅街では、早朝から深夜に及ぶ違法駐車、私有地へのゴミの投げ捨て、泥酔者によるトラブルが日常茶飯事となり、地域住民の平穏な生活は限界に達していました。こうした危機的状況を受け、明石市議会および行政は抜本的な対策に着手。制定されたのが「明石市海水浴場等における市民等の安全で快適な生活環境の確保に関する条例」です。
この条例により、林崎松江海岸を含む指定エリア内での火気使用(バーベキュー、直火、ガスコンロの使用、指定外の花火など)は明確に禁止されました。明石市職員や警備員による定期的なパトロールが実施されており、指示に従わない悪質な違反者に対しては過料(5万円以下)の徴収や退去勧告といった法的拘置が科される仕組みが確立されています。「少しだけなら見逃してくれるだろう」という甘い認識は通用しません。