船旅に不慣れな旅行者が陥りがちな「想定外の落とし穴」について、現場の実態に基づいた注意点を整理します。
第1の盲点は「航行中の車両甲板への立ち入り禁止」です。安全航行とテロ対策の観点から、一度出航すると入港直前まで車両甲板のハッチは完全に施錠されます。「車の中に上着や充電器、常備薬を忘れた」としても、航行中に取りに戻ることは一切できません。船室で過ごす着替えや洗面用具、貴重品は、必ず一つの手荷物バッグにまとめて持ち込む必要があります。
第2の盲点は「洋上におけるスマートフォン通信環境」です。フェリーは陸地から離れた太平洋上を航行するため、出航後1〜2時間を経過すると大手キャリアの4G/5G電波は圏外になります。船内ではWi-Fiサービス(さんふらわあスマートサークル等)が提供されていますが、衛星回線を利用しているため通信速度や同時接続数に制約があり、動画のストリーミング再生や大容量データの送受信は困難です。読書用電子書籍や映画などは、乗船前の陸上にいる間に端末へ事前ダウンロードしておくことが必須の自衛策です。
第3の盲点は「船酔いへの過信」です。「さんふらわあ」は横揺れを軽減するフィンスタビライザーを装備した大型船ですが、低気圧の通過時や太平洋特有のうねりを受けると揺れが生じます。酔い止め薬は「酔ってから飲む」のではなく、「乗船する30分前(大洗港の待合室にいる段階)」に服用しておくことで効果が劇的に高まります。