お札の肖像画に選ばれる人物には、時代を超えた明確な基準が存在する。財務省や日本銀行が公表している主な条件は3つ。「日本国民が世界に誇れる人物であること」「教科書に載っているなど、一般によく知られていること」「偽造防止の観点から、精密な写真や絵画が残っていること」だ。
特に3つ目の「偽造防止」は極めて実務的な理由だ。髭(ひげ)やシワが多い人物ほど、彫刻師が細部を表現しやすく、偽造が困難になる。聖徳太子の立派な髭、福沢諭吉の鋭い眼光とシワ、そして渋沢栄一の柔和ながらも複雑な顔立ち。これらはすべて、日本の最高峰の印刷技術と偽造対策が融合した結果選ばれた「防壁」でもあるのだ。