穏やかだった大精霊が、なぜ自らの肉体を損壊してまで「勤勉」を強要する怪物へ成り果てたのか。その決定的な転落劇は、エリオール大森林を突如襲撃した「虚飾の魔女パンドラ」と「強欲の大罪司教レグルス・コルニアス」の侵略に端を発します。
強大な力を持つレグルスを前に、非戦闘系の大精霊であったジュースは完全に力不足でした。愛するフォルトナとエミリアを逃がすための時間稼ぎとして、ジュースは決して手を出してはならない禁忌を侵します。自らの魂と肉体に適合しない「怠惰の魔女因子」を無理やり体内に取り込んだのです。因子適合率の低さから肉体は激痛に軋み、拒絶反応で血を吐きながらも、彼は命を賭して戦線に立ち続けました。
しかし、パンドラの権能である「事象の書き換え」が、ジュースに耐え難い地獄をもたらします。パンドラを仕留めたと確信して放った渾身の一撃が、現実改変によって最愛のフォルトナの胸を貫く致命傷へとすり替えられていたのです。自らの両手で最愛の女性を殺めてしまった絶望と、暴走する怠惰因子の侵食により、彼の自我と精神回路は完全に崩壊しました。パンドラによって狂気の隙間へ「愛に応える勤勉な信徒」という歪んだ虚構を刷り込まれた瞬間、慈愛の精霊ジュースは消滅し、魔女教大罪司教「怠惰」ペテルギウス・ロマネコンティが誕生しました。