なぜこれほど多くの人が『彩り』を「ドラマ主題歌」と思い込んでいるのでしょうか。音楽メディアの取材やファンの証言を総合すると、3つの明確な要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、宮﨑あおいさんが出演したオリンパス(OLYMPUS)のデジタルカメラCMです。美しい風景の中で写真を撮り歩くストーリー仕立ての映像は、わずか数十秒のCM枠を超えて「1本の短編ドラマ」のような完成度を誇っていました。映像と『彩り』の旋律が見事に重なり合ったことで、人々の記憶の中でドラマのオープニング映像のように定着したのです。
第2の要因は、リリース時期におけるドラマ主題歌『しるし』との記憶の混同です。『HOME』発売の約4カ月前となる2006年11月、ミスチルは社会現象を巻き起こした日本テレビ系ドラマ『14才の母』の主題歌として『しるし』をリリースしました。両曲とも同じアルバム『HOME』の重要曲としてプロモーションされたため、当時のテレビ露出やタイアップ情報が頭の中で一体化してしまったリスナーが少なくありません。
第3の要因は、情景が鮮明に浮かぶドラマティックな歌詞とMVの世界観にあります。日々の生活や仕事を切り取ったリアルな詞世界が、聴く人それぞれの人生のドラマと重なり合い、「何かのヒューマンドラマで流れていたはずだ」という確信めいた勘違いを生み出しています。