横山めぐみが『北の国から '87初恋』のオーディションに合格した当時、彼女は都立竹早高校に通う現役の高校3年生(17歳)でした。芸能界への強い憧れというよりは、ごく自然体で会場に現れた彼女の佇まいが、脚本家・倉本聰氏や演出スタッフの目を即座に捉えたと当時の制作関係者は述懐しています。
演じた「大里れい」は、富良野の厳しい自然のなかで農業を営む家庭に育ちながらも、どこか都会的な聡明さと影を併せ持つ少女でした。吉岡秀隆が演じる純が一目で心を奪われる説得力を持たせるため、制作陣は演技経験の有無よりも「圧倒的な清純さと脆さ」を求めていたとされています。カメラの前に立ったことすらなかった横山めぐみは、過酷な冬の北海道ロケのなかで鍛え上げられ、初恋特有のぎこちなさと瑞々しさをスクリーンに焼き付けました。
現場では倉本聰氏による妥協のない演技指導が連日続き、雪の中で何度もテイクを重ねる過酷な撮影現場でしたが、彼女が見せたひたむきな表情が作品に唯一無二のリアリティをもたらしました。まさに『北の国から』が彼女の原点であり、女優・横山めぐみを形作った決定的な出世作となったのです。