当時の土曜夜8時は、志村けんや加藤茶を擁するザ・ドリフターズの『8時だョ!全員集合』が視聴率30%から40%を叩き出し、他局がどんな新番組をぶつけても歯が立たない「難攻不落の要塞」でした。徹底的に作り込まれた大道具と綿密なリハーサルに基づくドリフの公開生放送コントに対し、『ひょうきん族』が武器にしたのは「予定調和の完全破壊」でした。
その破壊の中心にいたのが、タケちゃんマンとブラックデビルの対決です。当初5分程度を予定していた対決パートは、たけしとさんまのアドリブ合戦によって15分、20分と容赦なく引き延ばされました。私生活の暴露、カンペを出すディレクターへの野次、互いの弱点を突く即興の悪口大会など、台本を無視した生々しいやり取りにスタジオのスタッフは大爆笑し、その笑い声ごと電波に乗せる演出が視聴者に圧倒的な臨場感を与えました。
ブラックデビルは第61話で壮絶な最期(爆死)を遂げますが、人気に応えて翌週の第62話からは息子である「ブラックデビルJr.」が登場。最愛の女性が樋口可南子という唐突な設定や、父の復讐に燃えつつもやっぱりたけしに弄ばれる展開は、その後のアミダばばあやナンデスカマン、さらには「しっとるケ」へと続く、歴代のひょうきん族 キャラクター一覧の黄金パターンとして確立されていきました。