2014年夏、東宝が放った3DCGアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん』は、日本中に空前の「ドラ泣き」現象を巻き起こした。その感情の決壊点において、決定的な役割を果たしたのが秦基博の手による主題歌『ひまわりの約束』だ。
当時、映画のメガホンをとった山崎貴監督と八木竜一監督は、作品のラストを飾る音楽に対して極めて高いハードルを設定していた。原案である藤子・F・不二雄の原作漫画が持つ、素朴でありながら普遍的な人間愛。それを現代的なサウンドスケープと、誰もが共鳴できる言葉へと翻訳できるアーティストとして白羽の矢が立ったのが、所属事務所オフィスオーガスタの看板であり、希代のメロディメーカーとして知られていた彼だった。
依頼を受けた彼は、単にストーリーをなぞるのではなく、のび太とドラえもんという二人の「かけがえのない存在」の関係性を、普遍的な人間の絆へと昇華させる作業に着手する。試行錯誤の末に生み出されたメロディと詩は、アニメ映画主題歌の歴史に新たな金字塔を打ち立てることとなった。