本作を取り巻く最大の誤解は、「作中で描かれた残虐シーンの一部は、本物の犯罪記録映像を流用しているのではないか」という都市伝説です。ネット上の掲示板やSNSでは、90年代特有のアナログ質感と演出の生々しさから、このような根拠のない噂が一人歩きしてきました。
しかし、映画制作の客観的データおよび山之内大輔監督のフィルモグラフィーを検証すれば、本作は綿密に計算された完全なフィクション作品であることが明白です。1980年代後半の『ギニーピッグ』シリーズが巻き起こした社会的騒動以降、日本のオリジナルビデオ界では、特殊造形作家や特殊メイクアーティストたちが限られた予算の中で「いかに本物に見せるか」という技術競争を繰り広げていました。
『無残絵』で用いられた解体・拷問の描写も、人体ダミー、動物の臓物(屠殺場で調達された食用肉など)、アングルと編集の妙を駆使した撮影トリックです。当時のスタッフが現場で試行錯誤したアナログ技術の結晶が、後のネット世代に「本物かもしれない」と錯覚させた点こそ、本作がカルト映画として語り継がれる最大の要因と言えます。