タキさんを演じた野村昭子(のむら あきこ)さんは、1927年(昭和2年)東京府(現・東京都)生まれ。東京薬学専門学校(現・東京薬科大学)を卒業して薬剤師免許を取得後、演劇の世界に飛び込んだという異色のインテリジェンスを持つ女優でした。
劇団俳優座の養成所を経て文学座へ進み、舞台で培った圧倒的な発声と演技力で頭角を現します。テレビドラマ草創期から数多の作品で名脇役として活躍し、特に市原悦子さん主演の『家政婦は見た!』シリーズにおける協栄家政婦紹介所の会長・大沢キッツ役は、野村さんの代名詞とも言える大ヒットキャラクターとなりました。市原さんとの絶妙な掛け合いや、おやつを食べながら世間話に花を咲かせるシーンは、日本のテレビ史に残るお茶の間の定番風景でした。
橋田壽賀子作品との結びつきも極めて深く、『おしん』をはじめとする数々の名作に出演。長台詞がトレードマークである橋田脚本を完璧に咀嚼し、独特のリズムと血の通った温かみのあるセリフ回しで視聴者を惹きつけました。