オウム真理教事件と広報担当者の姿を客観的に捉えた森達也監督のドキュメンタリー映画『A』は、事件の多角的な側面に光を当てた不朽の怪作として知られる。事件を単なる「狂気のカルト」として切り捨てるのではなく、内部にいた人間の心理や家族の苦悩を描き出すアプローチは、報道のあり方に一石を投じた。
近年、犯罪ノンフィクションというジャンルは配信プラットフォームを通じて新たな広がりを見せている。事件から数十年が経過した今、NHKオンデマンドやNetflixといったサービスで過去のドキュメンタリー番組や事件を題材にしたオリジナル作品がアーカイブ化され、若い世代を中心に改めて視聴されている。事件を記録し風化させない試みは、映像メディアの進化とともに新たなフェーズに入った。