メディアや女性誌で頻繁に用いられる「国宝級イケメン」というキャッチコピーは、認知度を一気に引き上げる劇薬である一方、俳優本人にとっては時に表現の幅を狭めるリスクを孕んでいます。
ネット上の言説では「顔が良いから売れている」というステレオタイプな批判が散見されますが、現場で長期にわたり起用され続ける俳優ほど、この初期イメージを早期に脱ぎ捨てる覚悟を持っています。美男子役だけでなく、狂気を孕んだ犯罪者役、どこにでもいる冴えない青年役、あるいは徹底的に体を張ったアクションシーンを泥まみれで演じ切ることによって、批評家や映画ファンを唸らせてきました。
「イケメン俳優」という記号消費から脱却し、ひとりの表現者として自己を確立できるかどうかが、20代半ばで直面する最大の分水嶺です。自らのビジュアルを武器にしつつも、それに甘んじない覚悟を持った俳優だけが、カメレオン俳優としての高い評価を獲得しています。