東京都千代田区千代田1番地。日本で最も有名なこの住所には、住民票を持つ人間が住んでいない。天皇皇后両陛下の御所があり、宮内庁が置かれたこの広大な緑地帯は、日本の近代国家形成期において「中心」の概念を強烈に焼き付けた原点だ。
そこから南西へわずか数キロ、国会議事堂がそびえる永田町1番地、最高裁判所が構える隼町4番地、そして霞が関の官庁街。明治政府が敷いた地番制度は、国家権力のヒエラルキーをそのまま地図上にプロットする行為でもあった。数字の「1」は単なるインデックスではない。誰がこの国の舵を握っているのかを誇示するための、目に見えない記念碑なのだ。