40代以上の男性健診で実施される機会が増えているPSA検査(前立腺特異抗原検査)でも、射精の影響は顕著に現れる。PSAは前立腺の細胞から分泌されるタンパク質の一種であり、血中濃度を調べることで前立腺がんや前立腺肥大症のスクリーニングに活用されている。
射精のプロセスでは、前立腺が強力に収縮し、組織内部の圧力が一時的に上昇する。これに伴い、通常であれば血管内へ漏れ出さないPSAが一時的に血液中へと流入するのだ。日本泌尿器科学会の知見によれば、射精後のPSA値は数時間から最長で48時間程度、平常時よりも上昇した状態が維持されることがある。
PSA値が高く出れば、当然ながら前立腺がんの疑いによる精密検査(MRIや生検)が推奨される。射精というごく自然な生理現象が、がんの疑いという重い診断リスクへ直結してしまう点は、男性受診者が最も警戒すべきポイントだ。