30代から40代の女性の中には、「シャギー」と聞くと一抹の不安を覚える人も少なくありません。その心理的背景には、1990年代後半から2000年代初頭の「平成シャギーブーム」で経験した失敗体験が横たわっています。
美容技術史の観点から毛量調整と梳きバサミの経緯を辿ると、平成初期のカリスマ美容師ブームにおいて、毛先をツンツンと激しく削いだシャギースタイルが一世を風靡しました。しかし当時のサロン現場では、梳きバサミ(セニングシザー)を中間から根元付近まで過剰に入れ、ただひたすらに毛量を削ぎ落とす施術が横行した歴史があります。その結果、中間から短い毛がアホ毛のように飛び出し、毛先はスカスカで乾燥して広がるという「シャギー=傷んでパサつく」というネガティブなトラウマを多くの女性に植え付けることになりました。
しかし、毛先シャギーの現在の流行評判を検証すると、その様相は劇的な進化を遂げています。現在のトップサロンでは、刃の角度や抜けを緻密に計算した高品質シザーやスライドカット技法、髪に負担をかけない超精密フェザーレイザーが導入されています。毛束の内側の毛量を自然に間引きながら、毛先数ミリだけを繊細に先細りさせるため、髪のツヤと重厚な面を残したまま、シルクのような柔らかな手触りと軽やかさを両立できるようになりました。平成の「削ぎ落とすシャギー」から、令和の「質感を柔らかくほどくシャギー」へと、技術体系は完全にアップデートされています。