物語のクライマックスへ向かう第10話「弟の秘密」において、平穏を取り戻しつつあった柏木家に未曾有の惨劇が訪れます。名門私立高校に通い、兄弟の中でもとりわけ純粋で真面目だった次女・柏木小梅が、夜道で暴漢に連れ去られ、性暴力の被害に遭うという急展開でした。
当時、月曜夜9時のお茶の間で繰り広げられたこの場面は、過剰な直接的描写こそ避けられていたものの、引き裂かれた衣服や絶望に染まった小梅の表情、現場に残された遺留品など、冷徹なリアリズムを徹底した演出によって視聴者に極めて強い衝撃を与えました。この小梅を襲った犯人役を務めたのは、名バイプレイヤーとして知られる俳優の山崎一です。彼が演じたのは、実業団に所属する一見すると真面目な陸上選手・吉川道夫という男でした。
吉川はスポーツマンという表の顔を持ちながら、暗がりで理性をかなぐり捨てて凶行に及ぶという歪んだ二面性を体現。小梅を物色し、卑劣な手段で尊厳を踏みにじるその冷酷な演技は、視聴者の激しい憤りを呼び起こしました。この事件をきっかけに、小梅は重度の精神的トラウマを抱え、自宅の押し入れに閉じこもるなど心を完全に閉ざしてしまうことになります。