結論から言えば、「企業が怒り心頭で撤退した」という説はインターネット特有の誇張に過ぎない。制作現場とスポンサー企業との間で生じていたのは怒りではなく、広告出稿の評価軸の変化だ。
『TIGER & BUNNY』が提案した手法は、作中に実在の企業ロゴを露出させるプロダクトプレイスメントという手法だった。第1期放送時は、放送局であるTOKYO MXなどの深夜アニメ枠でありながら、想定以上の視聴率とSNSでの拡散力を記録し、協賛企業の株価や商品売上に直結する大成功を収めた。しかし、作品のロングラン化に伴い、企業のブランディング戦略や毎年度の広告予算枠は当然変化する。
契約期間の満了に伴う自然なロゴ降板や、企業側の経営方針の変更による予算組み換えが、視聴者側からは「トラブルによる降板」に見えてしまったのが噂の真相だ。また、グローバル市場を見据えた配信契約へのシフトにあたり、地域ごとの商標権や放映権の競合を回避するために契約を更新しなかった企業も存在する。現場の取材に応じたマーケティング担当者は「作品への愛着はあったが、自社の事業計画のタームと作品展開のタイミングを合わせ続けるのは容易ではなかった」と語る。