最乗寺の聖域において、最大の難所であり最高のパワースポットと称されるのが「奥の院」です。結界門をくぐり、御真殿からさらに奥の山手へと進むと、鬱蒼とした杉木立の間に一直線に伸びる354段の急勾配な石段が眼前に立ちはだかります。
樹齢数百年を数える「大雄山杉並木」に囲まれたこの空間は、外気から隔絶されたような静寂と冷涼な空気に満ちています。森林美学や空間心理学の観点からも、規則正しい階段の昇降と針葉樹が放つ高濃度のフィトンチッドは、脳内の緊張を和らげ深い内省状態をもたらす効果が指摘されています。
途中に踊り場はあるものの、傾斜角が非常にきつく、手すりに掴まりながら一歩ずつ登る必要があります。息を切らしながら登り切った標高約400メートルの高台には、十一面観音の化身とされる道了尊が祀られた奥の院が静かに鎮座しており、登頂した者だけが得られる圧倒的な達成感と精神的浄化を体感できます。