日本の氷上史において、決定的な転換点となったのは2006年のトリノ大会だ。アジア人として初の金メダルに輝いた荒川静香のプレッシャーに屈しない氷上のしなやかさは、世界を震撼させた。背中を大きく反らせるイナバウアーは単なる技の美しさにとどまらず、土壇場で見せた精神的強さの象徴として人々の記憶に刻み込まれている。
荒川の快挙は、それまで欧米勢の独壇場だったフィギュアの世界で日本人が頂点に立てることを証明した。これを契機に日本スケート連盟は選手育成のインフラを抜本的に強化。世界最高峰の練習環境と科学的トレーニングを導入し、日本は一気に世界トップレベルの王国へと躍進していく。