河津左衛子の若い頃の活動において、特に評価が高いのが東宝をはじめとする各社での出演作品です。
中でも特筆すべきは、日本初の女性映画監督のパイオニアである田中絹代がメガホンをとった意欲作『女ばかりの夜』(1961年・東宝配給)です。売春防止法施行後の更生施設で生きる女性たちを描いた本作において、複雑な葛藤を抱える登場人物たちの中で繊細な感情表現を見せ、観客の胸を打ちました。
ほかにも、当時の都会的な風俗を描いたコメディや青春映画、サスペンスドラマなどで、名バイプレイヤーとして作品を支える確かな実力を発揮。派手なスキャンダルとは無縁の、誠実な演技への取り組みが彼女の持ち味でした。