ムック本といえば、有名ブランドのトートバッグや高機能なコスメ、限定フィギュアといった「付録(マルチメディア商品)」が主役級の存在感を放つジャンルとしても有名です。「なぜ本屋でバッグが買えるのか」「なぜこれほど原価をかけたアイテムを同梱できるのか」という疑問の背景には、出版業界独自の制度設計があります。
日本の出版流通は、書店が売れ残りを返品できる「委託販売制度」と、全国どこでも定価販売を義務付ける「再販制度(再販売価格維持制度)」によって支えられています。しかし、公正取引委員会の規定により、書籍や雑誌の付録には価格やサイズ、本体との関係性について一定のルールが定められています。
出版社にとって、雑誌コードベースの定期誌では付録の価格比率に厳しい制限がかかる場合がありますが、書籍扱い(ISBNコード保有)のムック本であれば「商品(グッズ)+解説ブックレット」というパッケージ構成をとることで、本体定価を2,000円〜4,000円前後の高価格帯に設定できます。利益率を確保しつつ、全国数千店舗規模の流通ネットワークに一斉投入できるため、雑貨店では真似できないスケールメリットを活かした原価率の調整が可能になります。
さらに、通常のグッズ販売と違って書店ルートに乗ることで、普段アパレルやコスメ専門店へ足を運ばない層にもリーチできるという、マーケティング上の巨大な勝算があるのです。