中国の狙いは安全保障だけではない。国際的な商業打上げ市場におけるシェア拡大も着々と視野に入れている。欧州のアリアン6の打上げ遅延や、米国のバルカン・ライナーの供給制約、さらにはロシア製ロケットの国際市場からの孤立という隙を突く形で、中国は南米、アフリカ、中東の国家に向けて格安の「衛星打ち上げパッケージ」を売り込み始めている。
長征シリーズの強みは、国家の手厚い支援に裏打ちされた圧倒的なコストパフォーマンスと供給網の垂直統合だ。主要部品の自給率向上と量産化により、打ち上げ単価は年々低下している。欧米の民間企業が採算性に苦しむ中、国策としてコストを度外視した安定供給を維持できる強みは大きい。グローバル南部の新興国が宇宙開発に参入する際、中国の提示する条件はあまりにも魅力的であり、これが国際的な宇宙ルールの主導権争いにも直結している。