サッポロ一番の広告史を振り返る上で、サッポロ一番CM歴代の軌跡を語ることは日本の食卓史を紐解くことと同義です。1970年代から長年にわたり「みそラーメン」の顔として親しまれた藤岡琢也さんの温厚な父親像は、高度経済成長期から安定成長期における「お茶の間の安心感」そのものでした。
そして2000年代以降、ブランドのイメージを決定づける金字塔となったのが竹内結子さんです。劇団ひとりさんとの夫婦役、寺田心くんを交えた親子シリーズなど、彼女が見せた弾けるような笑顔と、子どもを見守る眼差しの温かさは、多くの日本人の心に「サッポロ一番=我が家の味」という強固な情緒的価値を刻み込みました。
当時の制作関係者は次のように証言しています。「竹内さんは台本に書かれたセリフをただ読むのではなく、器を持つ手の角度や、子どもにラーメンを取り分ける際のためらいのない所作一つひとつに、母親としての実感を吹き込んでいた」。彼女が体現した食卓の温もりは、消費者の心に深いノスタルジーと信頼を根付かせ、サッポロ一番CMサンヨー食品の歴史における最高の到達点として今なお語り継がれています。