黒死病はなぜ世界を壊滅させたのか?中世ペストの惨禍と現代の脅威

黒死病はなぜ世界を壊滅させたのか?中世ペストの惨禍と現代の脅威

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ペスト菌が引き起こす病態は、感染経路と侵入部位によって主に「腺ペスト」「肺ペスト」「敗血症型ペスト」の3種類に大別されます。中世の黒死病において最も高い頻度で見られたのは腺ペストでしたが、人から人への飛沫感染によって二次的に生じた肺ペストこそが、驚異的な感染スピードと致死率を生み出した真の要因でした。

病態・型感染経路と主症状未治療時の致死率現代の治療法・予後腺ペスト
(Bubonic plague)感染したノミによる刺咬。鼠径部や腋窩のリンパ節が鶏卵大に腫脹・激痛(横痃:おうげん)。高熱、頭痛。50%〜70%
(発症後数日〜1週間程度で死に至る)発症早期に抗生物質(アミノグリコシド系等)を投与すれば致死率は10%以下に低下。肺ペスト
(Pneumonic plague)感染者の咳や痰からの飛沫感染、または腺ペストからの血行性転移。激烈な肺炎、呼吸困難、鮮紅色の血痰。ほぼ100%
(無治療の場合、発症後24〜48時間で死亡)発症後24時間以内の抗菌薬投与が必須。遅れると救命は極めて困難。厳重な隔離が必要。敗血症型ペスト
(Septicemic plague)菌が直接血中に侵入、または局所から全身へ拡散。悪寒、血圧低下、全身性ショック、DIC、組織壊疽。ほぼ100%
(進行が極めて早く、即日死に至る事例も)集中治療下での多剤併用・昇圧管理が必要。治療開始が遅れると不可逆的なショック状態に陥る。

感染力と致死率の観点から最も警戒されたのは肺ペストです。腺ペストがノミの媒介を必要とするのに対し、肺ペストは感染者の呼気や咳によって人から人へと直接感染します。患者が排出した血痰中の菌が空気中に飛散し、それを吸い込んだ者が瞬く間に発症して命を落とす連鎖が、都市部での劇的な感染者急増を招きました。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。