テレビ画面に映し出される行司の姿は、土俵上で軍配を振る瞬間がほとんどだ。しかし、本場所中の裁きは行司の仕事のほんの一部に過ぎない。行司の真の日常は、相撲部屋の運営を裏で支える多忙な務めに満ちている。
若手行司の一日は早朝の稽古場から始まる。力士たちの呼び上げや稽古の進行を手助けし、日中は部屋の事務処理、電話対応、さらには親方や力士たちの移動手配や番付編成に関する書類作成などを担う。また、本場所前になると「番付書き」と呼ばれる重要な大仕事が待っている。独特の太い筆致で書かれる番付表は、選ばれた行司が数日間部屋に籠もり、寸分の狂いもなく手書きで仕上げる伝統の職人技だ。土俵を降りれば、彼らは相撲部屋の金庫番であり、秘書であり、広報マンでもあるのだ。