住空間の通路幅を考える際、まず把握すべきは人間の身体寸法と動作空間です。成人男性の平均的な肩幅はおよそ45〜48cm程度ですが、歩行時には衣服の厚みや腕の振りが加わるため、肩幅ぎりぎりのスペースではスムーズに歩くことができません。
日常的にストレスなく1人が通れる幅は60cmが基本の最小寸法となります。この幅があれば、正面を向いたまま荷物を持たずに自然な足取りで通り抜けることが可能です。
一方で、ベッドと壁の隙間やクローゼットの脇など、使用頻度が低い場所での「通り抜け限界値」となるのが、いわゆるカニ歩きの隙間寸法です。横向きであれば約30〜45cmの隙間があれば通過自体は可能ですが、毎日のメイン動線にこの寸法を当てはめてしまうと、日々の移動が大きなストレス源になります。日常動線には最低でも60cm、サブ動線でも50cmを下回らない配慮が求められます。