アルバム全編を通して、1曲たりとも無駄なトラックが存在しません。ここでは全5曲のブルートレイン 収録曲 解説と、現代の鑑賞でも外せないコアな聴きどころを深掘りします。
1. Blue Train(ブルー・トレイン)
重厚な3管のユニゾンによる、哀愁と威厳を帯びたマイナー・ブルース。テーマ提示直後、コルトレーンが先陣を切って放つ咆哮のようなテナーソロは、ジャズ史に残る名演中の名演です。蒸気機関車が徐々に加速していくかのような、うねるリズム隊の躍動感に引き込まれます。
2. Moment's Notice(モーメンツ・ノーティス)
ジャズ史におけるコード進行の金字塔であり、多くのプレイヤーが挑戦し続ける難曲。モーメンツ・ノーティス 聴きどころは、目まぐるしく転調する複雑なコードチェンジ(後のコルトレーン・チェンジズの原型)を、まるで平地を疾走するかのように滑らかかつエネルギッシュに吹き切るフロント陣の超絶技巧です。ドリューの軽快なピアノとフィリー・ジョーの小気味よいシンバルワークも絶品です。
3. Locomotion(ロコモーション)
アップテンポの痛快なブルースナンバー。フィリー・ジョーと各フロント奏者によるスリリングな4バース(ソロの掛け合い)が展開され、スタジオ内の凄まじい熱気とインタープレイの応酬がダイレクトに伝わってきます。
4. I'm Old Fashioned(アイム・オールド・ファッションド)
本作唯一のスタンダード曲(ジェローム・カーン作曲)。力強いハードバップが続く中で、コルトレーンが見せるリリカルで繊細なバラード解釈が光ります。メロディを慈しむように紡ぎ出すサックスのトーンは、彼の深い人間性を如実に物語っています。
5. Lazy Bird(レイジー・バード)
タッド・ダメロンの『Lady Bird』のコード進行をベースに、コルトレーン流の大胆なリハーモナイズが施された躍動感あふれる佳曲。キャッチーなテーマメロディの裏に高度な音楽理論が張り巡らされており、アルバムのフィナーレを華麗に飾ります。