こうした驚異的な暗算テクニックの多くは、20世紀初頭にインドの数学者スワミ・バラティ・クリシュナ・ティルタによって再発見・体系化された古代ヴェーダの数学、いわゆる「インド式計算術」に基づいている。
スワミ・バラティ・クリシュナ・ティルタは、ヴェーダ聖典に秘められた16のスートラ(簡潔な文章の形をとった法則)を読み解き、複雑な数式を視覚的かつ直感的に解き明かす解法を確立した。彼の提唱したシステムは、従来の算数概念を覆す革新的なものだった。格子状のクロス掛け算や数字の補数を利用した解法は、筆算の順序にとらわれず、脳の処理速度を極限まで引き出す設計になっている。
現在、インドが世界トップクラスのIT人材を多数排出する背景には、幼少期から親しむこの計算思考があるとも言われている。論理的かつ柔軟に数値を扱うインド式計算術は、グローバルな数学教育の現場に多大な影響を与え続けている。