先端技術が躍動する湾岸エリアから少し北上すると、全く異なる空気感が漂う。清澄白河だ。「サードウェーブコーヒーの聖地」と呼ばれて久しいこの地域は、現在、単なるカフェ街の域を超え、包括的な「クラフトカルチャーの首都」へと成熟を遂げた。ロースターだけでなく、独立系出版社、クラフトビールの醸造所、ヴィンテージ家具を取り扱うギャラリーが古い倉庫をリノベーションして点在している。
この街を象徴するのは、新旧の住民が自然体で混ざり合うコミュニティの存在だ。長年ここで暮らす職人と、移住してきた若い起業家が同じカウンターで言葉を交わす。商業主義に流されない独自の美的センスとローカルプライドが、街全体の強固なアイデンティティを形成している。歩くたびに新しい発見がある路地裏の多様性は、整然とした再開発エリアにはない独自の熱量を放ち続けている。