RIZINを観戦していると、「63.0kg契約」「68.0kg契約」といった既定の階級から外れたキャッチウェイト(契約体重)の試合を目にする機会が珍しくありません。「なぜ既存のベルトがあるのに階級外で戦うのか」と疑問を持つファンも多いはずです。
この背景には、選手同士の階級変更の過渡期や、階級を超えたスーパースター同士のドリームマッチを実現させるための高度なマッチメイク交渉があります。代表的な事例として、バンタム級(61.0kg)からフェザー級(66.0kg)への転向を目指す選手が、肉体改造のステップとして「63.0kg契約」で前哨戦を行うケースが挙げられます。急激な増量は心肺機能やスピードの低下を招くため、中間ウェイトで実戦感覚を掴む試みです。
また、階級変更に踏み切る選手の深層心理には、「過酷すぎる水抜き減量による生命の危険」があります。自著や特番インタビューで複数の日本人トップファイターが明かしているように、前日計量に向けた過酷な水抜きによって「手足が痙攣し、視界が白濁した状態でサウナに入り続けた」という生々しい体験は後を絶ちません。かつてバンタム級でタイトル争いを演じていた実力者がフェザー級へ転向した際、「減量末期に筋肉が削れ落ち、パンチを打つ力すら残っていなかった。本来の野生を取り戻すための決断だった」と述懐している通り、階級変更は単なる勝率の追求ではなく、ファイター生命を守るための切実な生存戦略なのです。