都市ガスが地中の配管を通じて各家庭に供給される公共インフラであるのに対し、LPガスは個別配送を行う民間事業者による「自由料金制」が基本です。ボンベの配送費、保安点検費用、検針人件費が基本料金や従量単価に上乗せされている点が、価格差の第一の要因です。
さらに深刻なのが、賃貸集合住宅特有の商慣行でした。これまで一部のLPガス事業者は、アパートの建築時にエアコンや給湯器、インターホンなどの設備をオーナー(大家)へ「無償貸与(実質的な無料提供)」し、その回収費用を入居者の毎月のガス代に「設備費用」として密かに上乗せして請求する構造が長年横行していました。
この不透明な取引慣行に対し、経済産業省・資源エネルギー庁は液石法(LPガス法)施工規則等の見直しを実施し、「設備費用のガス料金への不透明な上乗せ禁止」や「基本料金・従量料金・設備料金の3部料金制の徹底と内訳開示」を義務付けました。
法改正によって透明化は進みつつあるものの、一度設定された高額な料金プランが自動的に安くなるわけではありません。賃貸物件を選ぶ際には、家賃の数千円の差だけでなく、「都市ガス物件かLPガス物件か」を事前に確認することが、長期的な固定費管理において決定的な差を生み出します。