新アニメ版(2011年版)は非常に高い作画水準と原作再現度を誇る一方で、テレビアニメのフォーマットや放送コード、尺の都合に伴う改変がいくつか存在します。その差異を理解することは、原作漫画をより深く味わう上で欠かせない要素です。
最も大きな改変点は、「第1話におけるカイトの登場シーンのカット」です。原作漫画および旧作アニメ(1999年版)では、第1話の冒頭で幼少期のゴンがキツネグマに襲われた際、ジンを探す旅の途中にあったカイトに救出されます。カイトから父ジンの存在とその偉大さを教えられたことこそが、ゴンがハンターを目指す決定的な原体験でした。
しかし新アニメ版では、この導入部が省略され、ゴンは最初から「まだ見ぬ父親に会いたい」という純粋な動機で旅立ちます。結果としてカイトとの邂逅はキメラアント編の冒頭(第76話)まで先送りされ、回想という形で補完されることになりました。原作ファンからは「ゴンのキメラアント編におけるカイトへの執着と精神的崩壊の重みが、初対面の時期の変更によってニュアンスを変えてしまった」という議論が巻き起こるなど、構造的な演出の違いとして語り継がれています。
また、描写表現のトーンにも明確な違いがあります。1999年の旧作アニメ版は、セル画特有の陰影やフィルムノワール調の重厚な演出、原作以上の心理サスペンス描写が際立っており、特にヨークシンシティ編(幻影旅団編)の退廃的な空気感は今なお伝説的な評価を得ています。新アニメ版は序盤こそ日曜朝枠という時間帯の制約もありマイルドな少年漫画テイストで始まりましたが、深夜枠へ移動したキメラアント編以降は、残酷描写や人間の悪意を生々しく描き出すハードな作風へと変貌を遂げました。