議員報酬を論じる上で、歳費そのもの以上に「第二の給与」として厳しく糾弾されてきたのが非課税手当の存在です。なかでも調査研究広報滞在費(旧文通費)の現在は、長年にわたり国会改革の最大の焦点となっています。
かつて「文書通信交通滞在費」と呼ばれたこの手当は、国会議員に対して月額100万円(年間1,200万円)が無条件で支給される制度です。最大の問題点は、給料と異なり非課税であり、領収書の提出義務も使途報告の公開義務も長らく免除されていた点にあります。1日しか在籍していない新人が満額100万円を受け取った問題を契機に名称変更と日割り計算の導入が行われたものの、本質的な領収書添付義務化や残余金の国庫返納に関しては与野党の駆け引きが続き、2026年現在も完全透明化に向けた制度設計の遅れが批判を浴び続けています。
一方、地方議員に支給される政務活動費の使途基準と実態も決してクリーンとは言い切れません。政務活動費は、政策立案のための調査研究、視察旅費、住民報告レポートの印刷・配布費用などを補助する公金です。かつての号泣会見に代表される不正受給事件が相次いだことで、多くの議会で「1円からの領収書添付」やインターネット上での領収書PDF公開が進みました。しかし現在でも、
- 自宅兼事務所の家賃や光熱費を「按分(あんぶん)」名目で不透明に公費計上する行為
- 身内や親族を政策スタッフとして雇用し人件費を支払う不自然な支出
- 選挙活動用のポスターやビラとの線引きが曖昧な広報費
といったグレーゾーンの使途が後を絶ちません。歳費法改正を巡るこれまでの経緯を振り返れば、過去に東日本大震災の復興財源確保やコロナ禍における国民感情への配慮から「歳費2割削減」といった時限措置が取られた歴史はあるものの、それらは一時的な弥縫策に過ぎず、手当の聖域にメスを入れる恒久法改正は幾度となく先送りにされてきたのです。