ビジネスパーソンや日本語学習者の間で長年議論となるのが、ありがとうございますとありがとうございましたの違いです。「ありがとうございました」と過去形にすると関係性がそこで切れるように感じられて失礼にあたるのか、という疑問は現場でも頻繁に提起されます。
国語審議会や現代のビジネスマナー規範における解釈を整理すると、両者の境界線は「行為の完了性と関係性の継続性」にあります。
現在進行中の事柄や、今後も継続して関係が続く相手に対しては、現在形である「ありがとうございます」を用いるのが基本です。一方、プロジェクトが終了したタイミングや、退職・異動の挨拶、一時的にサービスを受けた直後の見送りなどでは、完了した事実への謝意として「ありがとうございました」を用いるのが自然な文法運用です。過去形にしたからといって一概に失礼になるわけではなく、行為が完全に完了した場面において適切に選択することが重要です。