「無駄」という言葉がジョジョの物語に初めて登場したのは、第1部『ファントムブラッド』です。人間を辞め吸血鬼となったディオ・ブランドーが、主人公ジョナサン・ジョースターの反撃を冷徹に受け止めた際、自らの絶対的優位を示す言葉として放たれました。
荒木飛呂彦氏の公式インタビューや関連資料を紐解くと、このセリフは単なる威嚇の掛け声ではなく、「弱者が強者(神のごとき存在)に挑む行為そのものの不条理」を突きつけるDIOの冷酷な精神構造から生まれたことが分かります。他者の努力や希望を鼻先で笑い飛ばす絶対悪のニヒリズムが、「無駄」という日常語の連打によって不気味な絶対性へと昇華されたのです。
第3部『スターダストクルセイダース』でDIOがスタンド「ザ・ワールド(世界)」を発現させたことで、この叫びは肉体的な破壊力を伴う「無駄無駄ラッシュ」へと完成。時を止める支配者の前ではあらゆる抵抗が無意味であるという、絶望的な演出として読者の脳裏に焼き付けられました。