1918年、スコットランドのグラスゴー大学へ留学した竹鶴政孝は、ウイスキー造りの深遠な世界に浸りながら、運命の女性リタと出会う。良家の長女であったリタと、遠い東洋の島国からやってきた青年。二人の距離が縮まるのに時間はかからなかったが、周囲の反応は冷ややかだった。互いの家族からの強い反対を押し切り、1920年に現地の登記所で二人だけの結婚式を挙げた。
「本物のウイスキーを日本で造る」。政孝の途方ない夢を理解し、生涯の伴侶として寄り添う覚悟を決めたリタ。二人はスコットランドでの修行を終え、期待と不安が入り交じる日本への帰国の途についた。見知らぬ文化、言葉の壁、そして第二次世界大戦に向かって急速に傾斜していく社会情勢が、二人を待ち受けていた。