NTTがリモートワークを撤廃したという言説は、客観的事実に照らし合わせると完全な誤認です。NTTグループはリモートワーク制度を一切廃止していません。
NTTの公式発表資料を振り返ると、同社は2021年9月28日に分散型ネットワーク社会を見据えた「新たな経営スタイル」を提示。当時のオンライン記者会見で澤田純社長(当時)は「将来は全社員の働き方をリモートワーク原則にする」と明言しました。その方針は現在も基幹方針として引き継がれており、主要グループ会社における在宅勤務率は2026年時点でも40〜72%台という極めて高い水準を維持しています。
では、なぜ火のない所に煙が立ったのでしょうか。取材や各社ニュースリリースを精査すると、廃止されたのはテレワークではなく、昭和・平成の日本企業を象徴していた「転勤・単身赴任の原則」でした。従来の「会社都合で住む場所を決められる人事異動」を撤廃し、社員が自律的に居住地を選べる環境を整備した経緯があります。この「廃止」という強いキーワードがSNS上の伝言ゲームによって変質し、「NTTがリモートワークを廃止するらしい」という誤った情報へとすり替わって拡散されたのが事の真相です。