春から初夏にかけて見つかる、下部に細長い煙突のような口がついた泥色の構造物は、コガタスズメバチ特有の初期巣です。この独特なフォルムは、巣の内部温度を保ち、外敵の侵入を防ぎながら女王蜂が効率よく産卵・育児を行うために作られた精巧なシェルターです。
巣の表面には、樹皮や木片を唾液で練り合わせたことによって生まれる美しい木目調のマーブル模様が浮かび上がります。大きさは作り始めの数センチから、徳利の首部分を含めても約5〜10センチ程度にとどまります。この段階では内部にいる成虫は越冬から目覚めた女王蜂ただ1匹のみ。外皮(がいひ)と呼ばれる殻に覆われており、外から中の幼虫や卵が見えない点も大きな特徴です。
このフラスコ・徳利の形状が見られるのはごく短い期間に限られます。働き蜂が羽化して成虫の数が増え始めると、出入り口である細長い筒部分は噛み砕かれて拡張され、徐々に丸みを帯びた球体へと変化していきます。