米格付け大手S&Pグローバルが公表しているソブリン格付けにおける日本の現在地は、自国通貨建て・外貨建て長期国債ともに上から5番目のカテゴリーとなる「A+(シングルAプラス)」、格付け見通し(アウトルック)は「安定的(Stable)」となっています。
投資適格級の最上位である「AAA」から数えると、日本の評価は「AA+」「AA」「AA-」の下に位置しており、かつての経済大国としての威光から見れば大きく後退したポジションに甘んじています。S&Pが日本国債の見通しを「安定的」と据え置く背景には、相反する2つの強固な要因が拮抗している実態があります。
プラス要因として高く評価されているのは、日本の圧倒的な対外純資産残高と、基軸通貨性を帯びた「円」の決済力、そして盤石な国内金融資産です。日本は30年以上にわたり世界一の対外純資産国であり続け、企業の海外収益(第1次所得収支)を中心とした強固な経常黒字基盤を持っています。これにより、他国のように外貨不足から債務不履行に陥るリスクは極めて低いと判定されています。
一方で、マイナス要因として重くのしかかるのが、一般政府債務残高の対GDP比が260%前後という主要先進国で最悪水準の財政赤字と、急速に進む超高齢社会に伴う社会保障費の膨張です。S&Pは「強固な対外ポジションが財政面の極端な脆弱性を相殺している」と分析しており、この絶妙なバランスの上に辛うじて「A+・安定的」という現在のレーティングが成立しています。