労働時間計算の鉄則は「1分単位」である。法律が要求する基準はきわめて明快だ。労働基準法第24条は「賃金全額支払の原則」を厳格に定めており、労働者が実際に働いた時間に対しては、たとえ1分であっても相応の賃金を支払わなければならない。
公的な法令データベースであるe-Gov法令検索で条文を調べても、労働時間を30分刻みで切り捨てることを許可する特例など存在しない。日々の残業時間を15分や30分単位で切り捨てる行為は、法律上「賃金の一部の未払い」に該当する。企業が「就業規則に30分単位と記載している」と主張したところで、労働基準法の定める基準を下回る社内規定は無効となる。
例外的に許される端数処理は、1日単位ではなく「1ヶ月の総残業時間の合計」に対する集計時のみだ。具体的には、1ヶ月の残業時間全体の合計に30分未満の端数が出た場合は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる処理に限られる。日ごとの労働時間を毎夕切り捨てる運用は、根底から違法なのである。