デザイン意識の高まりとともに、SNS上では「優れたプレゼン資料には箇条書きを一切使うな」「すべてを図解に置き換えるべきだ」という極論が散見されます。しかし、この主張を鵜呑みにすることは危険な罠を孕んでいます。
資料デザインの本質はアートではなく、ビジネスの意思決定を円滑に進めるための手段です。利用規約、契約条件の箇条書き、システム障害の報告ログ、詳細な財務データの補足など、文脈の厳密さや網羅性が求められる場面で無理に図解化やボックス化を行うと、かえって情報が削ぎ落とされ、誤読を招く原因になります。「グラフィックに溺れて本質的な情報が伝わらない」という本末転倒な事態は、多くの現場で警戒されています。
【プロの結論】脱箇条書きを導入すべき資料・避けるべき資料の判断基準
デザインのプロフェッショナルが下す実践的な判断基準は、そのスライドが「プレゼン型(聴衆の前で投影して話す資料)」なのか、それとも「ドキュメント型(手元でじっくり読み込ませる配布・閲覧資料)」なのかという点に集約されます。
役員会での意思決定や新規提案、ピッチイベントなど、短時間で聞き手の感情と合意を勝ち取るプレゼン型資料では、徹底したボックス化と脱箇条書きの図解化が必須です。一方で、稟議書の添付資料や運用マニュアル、法務チェック資料のようなドキュメント型では、整理されたインデントと適切な行間を備えた「端正な箇条書き」の方が、検索性と信頼性の面で優位に立ちます。資料の役割を見極め、表現のギアを適切に切り替えるリテラシーこそが、真のビジネススキルと言えます。