市販品を買う前にぜひ試してほしいのが、スーパーで格安販売されている鶏皮を使った自家製抽出です。鶏もも肉を料理する際に剥ぎ取って冷凍ストックしておいた皮や、100g数十円のパック肉を使えば、驚くほど澄み切った極上の油が手に入ります。
料理人の厨房で受け継がれる基本の抽出工程は至ってシンプルですが、濁りと生臭さを防ぐための「温度管理」だけは厳守しなければなりません。
- 下準備:鶏皮(約300g)の表面についた余分な水分をキッチンペーパーで徹底的に拭き取ります。水分が残っていると油ハネの原因になるだけでなく、完成した油の透明度が落ちて劣化が早まります。皮は2cm角程度に切り揃えます。
- 低温抽出(弱火):冷たいフライパンに鶏皮を広げ、極弱火に点火します。油を敷く必要はありません。加熱を始めると、5分ほどでじわじわと透明な液体が染み出してきます。絶対に強火にしてはいけません。120度を超えると油が焦げ付き、特有の甘い芳香が苦味へと変質してしまいます。
- 香味野菜の投入:フライパンの底一面に油が溜まった段階で、長ネギの青い部分(1本分)と薄切り生姜(ひとかけ)を投入します。弱火を維持したまま15〜20分じっくりと泳がせることで、鶏特有のドリップ臭を野菜の精油成分がマスキングし、中華料理店顔負けの香味油へと昇華します。
- 濾過と仕上げ:鶏皮がきつね色にカリカリになり、泡が小さくなったら火を止めます。耐熱性のザルにキッチンペーパーを敷き、熱いうちに油を濾(こ)してガラス瓶などの耐熱容器に移します。常温で粗熱を取れば、透き通った黄金色の自家製鶏油の完成です。
なお、抽出後にフライパンに残ったカリカリの鶏皮は、決して捨ててはいけません。塩と黒胡椒、少量のレモン汁を振るだけで、居酒屋顔負けの極上おつまみ「鶏皮せんべい」になります。油を抽出した後の副産物まで完全消費できる点も、自作派が熱狂する大きな理由です。