蓮巳敬人の物語において、最もドラマチックであり、ファンの間で幾度も議論が交わされてきたのが、かつての「夢ノ咲学院抗争時代」における立ち回りです。彼がなぜ生徒会副会長へ就任する経緯を辿り、どのような十字架を背負うことになったのか、その真相は『追憶*それぞれのクロスロード』をはじめとする過去編で克明に描かれています。
かつて荒廃を極めていた夢ノ咲学院において、敬人は当初、幼馴染であり夜の支配者であった朔間零らと共にバンドユニット「デッドマンズ」を結成し、現状打破を模索していました。しかし、圧倒的なカリスマと奔放さを持つ零の存在に振り回され、己の無力さを痛感した敬人は、やがて病弱な幼馴染である天祥院英智と手を組む道を選択します。これが、学院の権力構造を根底から覆す「生徒会」の立ち上げへと繋がっていきます。
英智の理想とする「光あふれる学院」を実現するため、敬人は参謀として冷徹なシナリオを執筆しました。それが、学院の不満と悪意を一身に集めさせて処刑台へと送る「五奇人」の選定です。敬人は自らの手を汚し、策謀を巡らせる黒幕としての役割を完遂しましたが、その結果として親しい仲間たちを傷つけたという事実は、彼の心に消えない贖罪意識(Guilt Complex)を深く刻み込むことになりました。英智との関係性は、単なる主従や友情という言葉では括りきれない、「共犯者」としての業を共有する極めて濃密な絆で結ばれています。