箱根エリアに数ある高級旅館やリゾートホテルの中で、なぜ小田急 山のホテルはこれほどまでに別格の存在感を放ち続けているのか。その根源は、昭和初期の上流階級が愛した「本物の別荘文化」の空間設計にあります。
ホテルのルーツは、大正時代に岩崎小弥太男爵が芦ノ湖畔に構えた別邸です。富士山を正面に仰ぎ、芦ノ湖の波打ち際までなだらかに下る広大な敷地は、当時の最高峰の審美眼によって選定された特別な立地でした。戦後の1948年、その別邸の粋とホスピタリティを継承して開業した歴史的背景を持ち、館内の至るところにオーセンティックな洋館の気品が漂っています。
現代の多くの宿泊客が口を揃えるのは、「デジタル疲れを忘れさせる、時間の流れの緩やかさ」です。全室が芦ノ湖に向けて配置され、バルコニーや窓辺から刻一刻と表情を変える湖面を眺める時間は、人工的なアトラクションでは得られない深いリラクゼーションをもたらします。過度な華美を追わず、自然と調和した建築美を守り抜いている点こそが、リピーターを惹きつけて離さない最大の要因です。