2000年代後半、停滞感を打ち破るべく就任した眞鍋政義は、日本バレー界に不可逆的なパラダイムシフトを起こした。ベンチにiPadを持ち込み、リアルタイムで弾道や決定率を選手へフィードバックする「IDバレー」の導入である。経験と直感に頼りがちだった現場に、冷徹な数値化のメスを入れた。
愛称として定着した火の鳥NIPPONを率い、木村沙織や竹下佳江らの個性を最大限に引き出す戦術を次々と考案。「MB1」や「ハイブリッド6」といったミドルブロッカーの概念を覆す奇策で海外勢を撹乱し、2010年世界選手権、そして2012年ロンドン五輪で28年ぶりとなる表彰台へと導いた。眞鍋の柔軟な戦術眼は、小柄な日本が世界に勝つための青写真を示し直した。