松井優征氏の漫画『逃げ上手の若君』では、逃げることや隠れることに異常な才能を示す少年の成長劇として魅力的に描かれています。しかし、史実における時行は、単に「逃げて生き延びた」だけの人物ではありません。
歴史書『太平記』や『梅松論』に記された時行は、絶望的な劣勢下でも武士団をまとめ上げ、20年近くにわたり室町幕府の最高権力者たちと渡り合った不屈の実力派武将でした。漫画に見られるコミカルな逃亡劇はエンターテインメントとしての演出ですが、「圧倒的強者に対して諦めず、機を待って奇襲を仕掛ける」という戦術的本質は、史実の時行の軍事行動と見事に合致しています。