メディア取材や授賞式、テレビ番組への出演時、板垣巴留は決まって巨大なニワトリの被り物を着用して登場します。このマスクは『BEASTARS』に登場する雌鶏のキャラクター「レゴム」(誇りを持って質の高い卵を産み、主人公レゴシの好物となるタマゴサンドを支える職人気質のキャラ)を模したものです。
多くのファンが「素顔の写真はないのか」と関心を寄せますが、公式媒体において顔出しをした記録は存在しません。武蔵野美術大学時代のスナップ写真や友人による過去の投稿などから「目鼻立ちの整った理知的な美人」との証言がネット上で散見されるものの、本人がオフィシャルに素顔を公開しない姿勢には明確なクリエイター哲学が存在します。
被り物を選ぶ背景には、「作者本人のジェンダーや外見のイメージが、読者の純粋な作品鑑賞の邪魔をしてはならない」という信念があります。自身をアイコン化しつつも、作家としての自我を過度に主張しないバランス感覚は、映像制作を学んだ美大時代に培われた客観的な視座によるものです。