近年のメガヒット作品を振り返ると、緻密に計算されたクール戦略の存在が浮き彫りになる。『鬼滅の刃』は第1期を連続2クールで丁寧に描き切り、圧倒的な映像美で社会現象の火種を作った。また『呪術廻戦』も濃密な2クール編成によって視聴者の熱量を急上昇させ、劇場版や続編への完璧な動線を作り上げた。
こうした限られた話数の中で作品の価値を極限まで高める演出手法の基礎を作ったのが、演出家の新房昭之氏だ。同氏が手がけた数々の作品で見せた独特のカット割りや視覚的演出アプローチは、2クールや1クールという制約の中でいかに視聴者の記憶に刻むかという、現代アニメの演出論における重要な指針となっている。