学校に存在するモノの変化は、子どもたちのサブカルチャーや怪談にも直結している。夜になると理科室で動き出す人体模型、音楽室で勝手に鳴り出すピアノ、鏡の中に引きずり込まれる洗面所――。こうした昭和から平成にかけて語り継がれた定番の都市伝説は、備品のデジタル化によってその基盤を失いつつある。
「人体模型がアプリのAR表示だけになったら、夜中に走るわけがないじゃないか」――そう笑うのは都内の小学校に通う6年生だ。しかし、怪談が完全に消滅したわけではない。現代の子どもたちの間では、「誰もいない放課後の教室で、電源の切れたスマート黒板に見知らぬ生徒の顔が映る」「AI学習ソフトが、存在しないはずの41人目の出席を記録し続ける」といった、デジタル機器を舞台にした新たな都市伝説が密やかに囁かれている。道具が変われば、恐怖の形もまたアップデートされるのだ。