本作が今なお愛され続ける最大の理由は、重厚なテーマを扱いながらも一瞬たりとも観客を飽きさせない極上のエンタメ性に we store ある。それを支えたのが、監督・伊丹十三と奇跡的なキャスト陣の化学反応だ。
主人公の査察官・板倉亮子を演じた宮本信子は、おかっぱ頭にソバカスという強烈なビジュアルで、泥臭く脱税を追い詰める執念の女性を熱演。対する脱税の天才・権藤英樹を演じた津川雅彦は、悪党でありながら悲哀と人間味を漂わせる圧倒的な演技を見せ、作品に深い立体感をもたらした。
二人の間で繰り広げられる狐と狸の化かし合いのような緊迫した駆け引きは、観る者の心を掴んで離さない。結果として本作は日本アカデミー賞において最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、最優秀主演男優賞など主要部門を独占。社会派コメディというジャンルを日本に定着させた。